Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
「信用されてないっていうのも、無理はないわね …」

「せめて目的だけでも教えてくれたら、俺も少しはあなたのことが理解できるんだけどな」

「そうね…でも、それはできないわ」

「だよな」


 話はずっと、平行線だった。


「でも、どうして?」


 インホアは、じっとエイジのほうを見た。


「どうして逃げないの? いつでも逃げられる状況なのに…」

「…趣味、悪ィよな」


 確かにインホアの言うとおり、いつでも逃げられる状況ではあった。

 だが、この状況を作ったのは彼女自身なのだ。

 それを今更、あらためて聞かれても。


「こんなワケのわからん状況で逃げられるかよ。それに、俺はあんたがユイの本当の母親かどうかも疑ってる」


 とことん信用されてないのね、とインホアは苦笑した。

 その時、部屋に光が差し込んだ。

 眩しさに、エイジは目を細める。
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