Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
 そして、ポケットからタバコを取り出そうとして、すでに中身がなくなっているのに気付き、それを手でくしゃりと潰した。


「厳しいのよ、この世界は。エイジやレン、それにミサトが今まで無事に生きてこられたのは、運が良かったとしか言いようがないわ」


 バッグから自分のタバコを取り出し、それをエイジに差し出してユイは言った。


「でも、もうそろそろ、運だけに頼るのは止めて」

「…インホアさんに、啖呵切っちまったからなァ…」


 タバコを一本抜き取りながら、エイジは小さく呟いた。

 え? とユイはエイジの方を見つめる。


「誰の指示も受けねェ、おれ達は自分の意志で動く、ってな」

「………」

「どうした、ユイ? 何かあったのか?」

「…何も」

「それにしちゃ、いつものユイらしくねェな」

「…どう違うの?」


 自らもタバコに火を付け、ユイは一息、煙を吐いた。
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