Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
 しかも、ピクリとも動かない。

 倒れたレンの側にに屈み込むようにしているのは、ツァンダオではなくて。


「インホアさん…!」

「また会えたわね、エイジさん」


 立ち上がると、インホアはエイジに向かって微笑みかけた。


「…こいつに何をした?」


 エイジは様子がおかしいレンを見下ろして言った。


「必要な物を頂いただけ」

「あんた…何故ロンに手を貸したりするんだ? 旦那を殺し、自分を殺そうとした男に…!」


 その意図は、エイジには到底理解できなかった。

 インホアは、無表情のまま答える。


「あの子の為よ…」

「………」

 それは消え入りそうなほど小さな声で、はっきりとは聞こえなかった。
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