オレンジジュース~俺と一人の生徒~
矢沢のハードルの下手くそさに、俺はまた癒された。
タイミングが合わないらしく何度も首をかしげながら、ハードルに挑戦する。
あきらめないところが好きだ。
お前がもし、あきらめやすい性格だったら…
今の俺とお前の関係ってありえないんだぞ。
お前のその一途な、努力する性格が…
俺とお前を結びつけてくれたんだ。
あの日、お前が体育教官室の掃除を手伝わなかったら…
マウスの中に好きだと書かなかったら…
お前がオレンジジュースをこぼさなければ…
俺は自分の気持ちをお前に伝えることはなかっただろう。
俺の心の奥にかけた鍵を
お前が開けたんだ。