オレンジジュース~俺と一人の生徒~
フラれた方がラクだった。
好きなのに自分から別れを告げることは
あまりにも辛かった。
これで良かったのか・・・
俺は間違ってる?
そればかり考えて、後悔していた。
教師の俺と
男の俺が
言い争う。
俺は間違っていた。
廊下ですれ違った矢沢は、俺の目を見てはくれなかった。
声をかけてはくれなかった。
俺は、精一杯強がって、声を絞り出す。
「さようなら・・・」
いつも生徒に言う口調で、精一杯強がって言った。
でも声は震えていた。
怖かった。
本当に終わったんだ。
俺と矢沢の恋は
終わってしまったのか。
振り向くことができず、俺は足早に階段を駆け下りた。
嫌いだって言ってくれ。
もう先生なんて嫌いって言って。
じゃないと、俺はいつまでも期待して
いつまでもお前の彼氏であるかのように
過ごしてしまう。
未来なんてない。
もう終わったんだって誰かが線を引いてくれないと
前に進めねぇよ。