オレンジジュース~俺と一人の生徒~
クリスマス
クリスマスソングが耳から離れない。
今年もクリスマスが近付く。
通勤の車の中で陽気なクリスマスソングが流れる。
一人寂しいクリスマスを過ごすことには慣れている。
今年のクリスマスも俺は一人で
愛する人の幸せを祈る。
去年までとは違う。
俺にはもう一人の『なお』がいる。
俺は言わなければならないことを
まだ矢沢に言えないままだった。
それで恋人だって言える?
嫌われるのが怖くて
逃げられるんじゃないかって怖くて
黙ってた。
まだ矢沢には受け止められないんじゃないかって思ってた。
でも、今なら言える。
矢沢はそんなに弱くない。
あいつの愛はとても大きく深く、
俺を包み込んでくれていた。
もし、俺の真実を知っても
矢沢は、俺を捨てたりなんてしなかったはずだ。