オレンジジュース~俺と一人の生徒~
俺は携帯電話を握り締め、直の番号を探していた。
「・・・もし・・・も、し」
眠そうな声。
そうか。
まだ朝早いんだっけ。
「今日の夜、会いたいんですけど・・・」
俺の控えめな誘いに直はテンションを上げて、OKの返事をくれた。
やり直すことになったからには、慎重に・・・大事に大事に・・・
守り抜かなければ。
あいつを無事に卒業させることはもちろんだけど、
俺が教師をくびになるようなことにも絶対ならないように・・・
頑張るしかない。
隠し続けよう。
バレないように、この愛をこっそり育てて行こうな、直。
・・・って、
俺・・・
まだ『直』なんて呼べてねぇし。
だって、学校でつい口から出ちゃったら困るし、恥ずかしいし、呼べねぇよな。