オレンジジュース~俺と一人の生徒~
スーパーマン
「先生、絶対転勤しないでね!!」
泣くなよぉ。
抱きしめたくなるから…
泣くな。
転勤があるかも知れないと言った俺を真っ直ぐに見つめた。
さっき2人で食べたプリンの香りが車の中には残っていた。
「そうだな…俺、お前のスーパーマンだからなぁ。いつでも助けてやれる距離にいないとな!」
矢沢は俺の腕を掴んでいた。
その手を握りたいと思った。
一生俺はお前のスーパーマンでいてやるよ…と言ってしまいそうだった。
「どこにも行かないよ」
俺は止めることができなかった。
矢沢の頭を抱きしめた。
もう…
限界。
俺、どうなっても知らないぞ…
言っちゃうかも知れないぞ。