オレンジジュース~俺と一人の生徒~
俺は幼稚園の時に、おばあちゃんを亡くした。
その為に、お葬式の記憶くらいしか俺にはない。
直のように、おばあちゃんの幸せを願ったことなんてない。
父方のおばあちゃんも母方のおばあちゃんも、
俺が小さい頃に亡くなって、一人のおばあちゃんは記憶にも残っていなかった。
だから、直のようにおばあちゃんの幸せを願える直が少し羨ましくもある。
そして、直は優しくて愛に溢れた女性だと思う。
俺は、また眠ってしまった直をバックミラー越しに見つめた。
良かったな、直。
もうすぐおばあちゃんに会えるぞ。
渋滞もなく、予定よりずっと早く着きそうだ。