オレンジジュース~俺と一人の生徒~
直は俺には言わないから、俺は知らなかった。
今でもお姉ちゃんが暴れたりする日があるってこと。
そのことをお姉ちゃんから聞いたとき、直の笑顔を思い出し涙が出そうになった。
直を泣かせてしまったと、お姉ちゃんから俺の携帯に電話があった。
つい最近のことだ。
年末の大掃除を終えて、一人でビールを飲んでいる時だった。
お母さんにきついことを言うお姉ちゃんに、直が一言何かを言っただけだった。
直は、それから何も言わず、お姉ちゃんの言うことを涙を流しながら聞いていた。
お姉ちゃんは、一人で自分の部屋に駆け込み、後悔の涙を流した。
そして、俺に電話をかけたようだ。
お姉ちゃんとの電話を切った後、俺は冷たい風に当たりたくて、外へ出た。
寒いけれど、月が綺麗で、寒さをあまり感じなかった。