オレンジジュース~俺と一人の生徒~
おばあちゃんが直の家で暮らす方向に話が進んだ。
それを一番喜んでいるのはやっぱりお姉ちゃんだと思う。
今まで何もできなかったから、これからおばあちゃんにいっぱい優しくしたいと言った。
帰りの車の中でも、おばあちゃんの話ばかりしていた。
俺は、直の家族の話を聞いていて、どんどんおばあちゃんを好きになった。
一度しか会っていないけど、ずっと前からおばあちゃんを知っているような気になった。
おばあちゃんの手作りのお手玉で遊んでいた幼い頃の直。
おばあちゃんの手作りのポーチを今でも大事に使っている直。
こんなにも愛されるおばあちゃんは、きっと素敵な人なんだ。
でも、今幸せな老後を過ごしてはいない。
神様って本当にいる?
いるのなら、おばあちゃんの残された日々に
明るい光を差して欲しい。
「おばあちゃん、毎日日記つけてるんだよ!だから私も小学校の頃から毎日つけてるんだ!」
直は、嬉しそうにそう言って、後部座席から俺の肩を揉んでくれた。