オレンジジュース~俺と一人の生徒~
そんな俺の心配をよそに、元カノは部屋でくつろぎ始めた。
「ねぇ、和人。やり直さない?」
今までも何度かこんなきまぐれを言うヤツだった。
今でこそ迷いもないが、数年前までは、真剣に考えたこともあった。
やっぱり七緒は俺の子供だし、一緒にいたいと思ったから。
でも、真剣に悩んで俺が答えを探しても、それは無駄になる。
結局、ただのきまぐれで、本気ではなかった。
寂しさに耐えられないだけで、俺をずっと近くに置いておきたいだけだった。
「は?ありえねぇ・・・彼氏と喧嘩したからってすぐに俺に連絡するなよ。」
とりあえずコーヒーを出し、俺は少し離れたリビングのソファへ腰掛けた。
台所の椅子に座った元カノは、すねたような顔をして、コーヒーを飲んだ。
「やっぱり、和人がいいんだ、私。結婚しない?」