オレンジジュース~俺と一人の生徒~
結婚?
「ごめん。お前に振り回されるのはもうこりごりだよ。俺は、もう自分の人生歩いてんだよ。いつまでも俺をそばに置いておこうとするのはやめてくれ。」
俺は視線を、窓の外の月へと移動させた。
月・・・
あの日、直と見た三日月がもう姿を変えていた。
直も、見てるかな、月。
俺はもう迷ったりしない。
俺は俺の守るべき人を見つけた。
「和人、彼女できた?」
七緒の将来について話すと言うから家に呼んだのに。
俺は、月を見つめたままため息をついた。
心の奥にある罪悪感や、迷いを消してくれるのは、直だけだった。
結婚しようと言われて、はっきりと断ったが、
七緒の声が俺の頭から消えない。
『パパ!』
七緒にとっては、それが一番良いんだと思う。
ごめんな、馬鹿なパパとママで・・・
ごめんな、寂しい想いや辛い想いさせて。