オレンジジュース~俺と一人の生徒~
「ああ、彼女いるよ。俺は、七緒のことは一生愛してる。何かあれば、何でもしたいと思ってる。だけど、お前とやり直すことは絶対にない。それはお前もわかってんだろ。」
カタンと音を立て、コップをテーブルに置いて、鼻をすすった。
「彼氏・・・なかなか結婚してくれないんだよね。七緒がかわいそうに思えてきて。早くちゃんとしたパパができればいいなって思って。」
1時間くらい話して、帰って行った。
七緒の写真を何枚か見せてくれて、俺はその笑顔にホッとした。
結局、今の彼氏と結婚したいんだけど、なかなか言い出してくれず、寂しくなって俺に頼ったって所かな。
七緒は、その彼氏のことをとても好きで、本当のお父さんのように接していると言っていた。
本当かどうかわからないが、俺にできることは、七緒の幸せを遠くから祈ることだけだった。
だから、その男性を七緒が父親のように慕っているとしたら、それは嬉しいことだった。
また電話がかかってくる気がした。
七緒の存在がなければ、携帯番号を変えて、連絡を絶つこともできるが、
俺と彼女は永遠に切っても切れない関係にある。
大事な大事な七緒の両親だから・・・