オレンジジュース~俺と一人の生徒~
俺よりずっと大人な直。
直は、出会った頃よりずっと強く、優しくなっていた。
俺と直は、別々に音楽室を出て、逆方向に歩き出す。
さっきまであんなに安心していたのに、1分もたたないうちに不安に襲われた。
直に触れていないと不安だった。
ずっとそばにいて欲しかった。
俺は振り返り、廊下の角を曲がる直を見ていた。
あの角を曲がると・・・直は泣きじゃくってしまうんじゃないか・・・
やっぱり無理だって・・・俺から離れてしまうんじゃないか。
俺は、臆病者だ。
スーパーマンなんかじゃない。
スーパーマンは、直の方だ。
俺の心をいつも救ってくれる世界にたった一人のスーパーマン。