オレンジジュース~俺と一人の生徒~
直に会いたかった。
でも、誘う勇気がなかった。
俺が会いたいと言えば、あいつは笑顔でOKするだろう。
でも・・・
俺は、会って確かめるのが怖かった。
できれば、その話題に触れず、今までみたいに楽しく笑っていたかった。
「スキ・・・か。」
俺は、自分の机のパソコンのマウスの中からボールを出した。
オレンジジュースをこぼした直。
そのおかげで、俺は直の気持ちを知ることができた。
俺がいない間に、俺のマウスの中のボールに「スキ」と書いた直。
あれ以来、教官室の冷蔵庫にはいつもオレンジジュースが入っていることをあいつは知らない。
直、俺・・・
どうしてこんなにも不安なんだろう。
お前にぎゅっと抱きしめてもらわないと・・・
怖くて、仕方がないよ。