オレンジジュース~俺と一人の生徒~
俺は財布からレシートを取り出し、携帯番号を書いた。
生徒に携帯の番号を教えるのは初めてだった。
本当は、ただ知っていて欲しかっただけなのかも知れない。
矢沢の為と言いつつ、自分の為なのかも知れない。
「何かあれば、連絡しろ。」
なんてカッコつけて言ったけどさ。
とにかく
心配だった。
俺と手を振って別れた後、
家でお前がどんな悲しい想いをするのか、と
想像すると胸の奥が苦しくて…
なかなか家に送り届けることが出来なかった。