オレンジジュース~俺と一人の生徒~
俺と直は、プールの更衣室へ向かって走った。
2人きりになりたかった。
誰にも見つからない場所で、直の心と触れ合いたかった。
更衣室はまだ夏の匂いを残したままだった。
懐かしい記憶が甦る。
ここで、俺と直は愛を育んだ。
暑い夏に、俺は直への愛を確信したんだ。
「な・・・お・・・」
俺は、真っ暗な更衣室を見回す直を後ろから抱きしめた。
直に真実を話した日から、俺は怖くて仕方がなかった。
一人ぼっちな気がした。
直を失ってしまう夢を何度を見た。
「な・・・お・・・」
ずっとこうしたかった。
もう離れたくない。