オレンジジュース~俺と一人の生徒~
今夜も、遅くまで会議。
年寄りの先生は、心配症で、何でも反対する。
俺は、生徒を信じたいと思う。
「何かあってからでは困るでしょう。新垣先生・・・」
「でも、修学旅行は一度しかないんです。夜の外出くらいは良いでしょう。」
8時以降の自由行動を禁止するという話に、俺は反対した。
「見回りを強化すれば、大丈夫じゃないですかね・・・」
先輩でもある数学の先生が、俺の意見に賛成してくれた。
毎晩このようなやり取りが繰り返された。
2クラスずつが一つの宿に泊まることになる。
直の担任ではない俺は、直と同じ宿になれる可能性は低い。
『絶対一緒が良い!』
直は、何度もわがままを言って、俺を喜ばせた。
抽選で決めることになっていた。
でも、俺は提案した。
これはちょっと職権乱用だったかな。
「安全の為にも、各宿に、若い男性教諭がいた方がいいと思います。」
みんなが賛同した。
直の担任は男だったが、結構な年配だった。
「じゃあ、新垣先生は私と組んでもらっていいですか?先生がいれば、泥棒が来てもやっつけてくれるなぁ!」
直と同じ『ペンション白いうさぎ』に決定した。