オレンジジュース~俺と一人の生徒~
やったーーー!!!
直、一緒の宿になったぞ!!
ちょっとでもいい。
修学旅行の夜、直の笑顔が見たい。
まだ直が学校にいる時間だったのに、俺は早く言いたくて我慢できなかった。
「あ、あの・・・ペンション白いうさぎに決定しましたんで・・・」
俺は、それだけ言うと電話を切った。
周りにいた先生にバレないように、小さな声で話した。
それがよけいに怪しかったんじゃないかって後から気付いた。
俺は、ドキドキする心臓を抑えながら、教官室の窓から外を見た。
休み時間の10分を思い切り使っている生徒達が見えた。
10分の休憩に、運動場でサッカーをする生徒。
早く教えたかった。
あんなにも、俺と同じ宿がいいと言っていた直は、今きっとものすごく喜んでいるだろう。
最近なかなか会えなかった。
でも、寂しくはなかった。
直と俺は、いつも近くにいた。
心と心が繋がっていた。
だから、頑張ることができた。