オレンジジュース~俺と一人の生徒~
直は、初めての飛行機をとても怖がっていた。
『先生が隣にいてくれたら平気なのに』なんて言ってたけど、俺は本気でそうしてやりたいと思った。
俺が直の手を握っていてやりたい。
でも、それができないのが、教師と生徒の恋愛。
学校に集合してから、みんなでバスに乗り空港へ向かう。
俺は、直の笑顔が見たくて必死で探したが、直が見つからなかった。
直は不安で震えてないか?
恐怖で、体調を崩していないか?
俺は、姿の見えない直を想って、バスの中で目を閉じた。
こうしていると、やっぱり直の担任になりたいと思う。
もし、担任になったら・・・今以上に大変なことも増えるし、俺は毎日いろんな意味で緊張してしまうだろう。
でも、毎日直の顔を見て、直に声をかけて、直が元気でいるかどうか知ることができる。
今、たまらなくそばにいたいと思うよ。
このバスの中にいてくれれば、と思う。
心配しているせいか、バスはなかなか空港に着いてくれない。