オレンジジュース~俺と一人の生徒~



直とゆっくり話すことができないまま、夜が来る。




同じ宿だというのに、すれ違う時に目を合わせたり、少し頭を触ったり・・・その程度しか出来なかった。




俺は1日目の夜の見回りを始めた。



直は、イベントが好き。

だから、すぐに寝るわけがない。



俺の予想通り、直と中田と里田は、廊下で話をしていた。


廊下に響き渡る3人の笑い声は、疲れた俺の心を癒してくれた。




俺に駆け寄ってきた直に・・・そっと触れた。


誰にも見つからない場所で・・・おでこにキスをした。



「ごめんな」



直に届いたのかわからない俺の声。


ごめん。


辛い想いをさせてごめん。

彼氏なのに、そばにいてあげられなくてごめん。






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