オレンジジュース~俺と一人の生徒~
ジェラシー
夕食の後、職員ミーティングがあった。
議題は、ナイタースキーについて。
今日もリフトに一緒に乗った男子から、しつこく頼まれた。
俺に言えば何とかしてくれると思ってくれていることが嬉しくて、思わず、任せとけ!と言ってしまった。
「一度しかないんですよ!あいつらの修学旅行は… 」
夕食でお腹いっぱいになって上機嫌な学年主任を説得するのは、案外簡単だった。
「じゃあ、新垣先生が責任持って監視していてくださいよ!」
俺と同じ意見だった同僚の先生と一緒に、喜びを分かち合う。
「いや~、良かったですね。しかし、新垣先生は約束を守る男ですね。」
「そんなことないっすよ。ただ、あいつらの願いを叶えてやりたかっただけですよ。」
ミーティングに備えて、数人の先生とジュースで乾杯した。
俺は、コーラじゃなくオレンジジュース。
直が好きなものは俺も好き。
窓から見えた夜のゲレンデは、とても美しかった。
早くみんなに報告したいと思った。
生徒達の喜ぶ顔が早く見たい。
生徒の笑顔が、俺をどんどん頑張らせてくれる。
直も…あいつも喜んでくれるかな。
先生頑張ったんだねって、俺を褒めてくれる?
俺は百点を取って、ダッシュで家に帰る小学生のようだった。