オレンジジュース~俺と一人の生徒~
「直、キスしたくない?」
キスしたいのは俺の方。
ほんのり赤くなった直の頬に触れるとひんやりしていた。
直は、きょろきょろと周りを見回した。
俺は強引に直を抱き寄せた。
冷えた体をこうして温めていると、去年のクリスマスを思い出すな。
公衆電話から電話してきた直を必死で探したっけ。
冷え切った直の体をぎゅっと抱きしめて、
俺のぬくもりで、直を救い出したかった。
「いろいろごめんな・・・」
俺は直にキスをした。
目を閉じるのがもったいなくて、
俺はこの景色を一生忘れないように記憶したいと思った。
長い長いキスの間、
俺は直とのこの最高の修学旅行を胸に刻んでいた。
忘れねぇよ。
絶対にな。
この温かいキスも
この真っ白な雪も・・・
直のピンクのパーカーも。