オレンジジュース~俺と一人の生徒~
「で、和人・・・お前、結婚しないの?」
「ぶは!!!」
やきそばが口から飛んで行った。
「俺のことより、お前は?」
久しぶりに呼び出すには何か、理由もあるんじゃないかとは思っていた。
「俺、父親になったんだ・・・だからってわけじゃね~けど、結婚するわ。」
想像がつかなかった。
昔から、結婚しない主義だとか自分で言っていた力なのに、まさか父親になるなんて。
でも、嬉しそうに笑う横顔を見ていると、なんだか俺もほっとした。
「そっか!良かったな。俺に抱っこさせてくれよぉ!」
「ああ、お前もいろいろあったからな。」
俺の過去のことを全て知っているのは、この力だけだった。
大学の仲間とも時々集まるが、娘がいることが誰も知らなかった。