オレンジジュース~俺と一人の生徒~
「でもさ・・・しばらく会えなくなるんだよ。」
力は、あっと言う間にやきそばを食べ終わり、コーヒーを一気に飲んだ。
トラックの中に貼られた『禁煙』のステッカーが、力が父親になったんだと感じさせた。
「どういう意味?」
「嫁の実家が北海道でさ・・・そこの仕事手伝うことになったんだ。」
俺は、寂しさを感じながらも、バイト中に話していた夢について思い出した。
力は、動物が大好きで、捨て猫や捨て犬を何匹も飼っていた。
ペットショップで働きたいとか、牧場で働きたいとか言ってたな。
もしかして・・・
「もしかして、奥さんの実家の仕事って??」
俺はニヤニヤ笑う力の顔を覗きこんだ。
「そう!!!牧場!!」
「やったじゃん!!夢、叶ったな!」
教師になりたかった俺と、動物関係の仕事がしたかった力。
こうして、俺も力も夢を手にすることができた。