オレンジジュース~俺と一人の生徒~
途中から無言のまま、直の家に着いた。
俺は、何よりも大事な直を守ることだけしか考えていなかった。
「ばいばい、先生・・・」
いつもと同じなのに、違うように感じてしまうのは、俺に後ろめたさがあるからか?
「おやすみ、直!!」
俺は家に帰り、七緒の母親に電話をした。
俺は一緒に暮らすこともできないし、彼氏の代わりにもなれないと言った。
何度も言ったはずだけど・・・
何だかすっきりしない。
俺は、ベランダに出て、星を見上げた。
明日、直と何をしよう。
何を食べよう・・・
俺は余計な事を考えないように、パソコンに向かった。
直が喜びそうな美味しそうなイタリアンのお店を予約した。
不思議と、さっきまでの不安がどこかに消えて、幸せな気持ちになれた。
明日、俺は直からチョコをもらうんだ。
去年もらえなかったチョコ。
実はすごく欲しかったのに、直はくれなかっただろ?
直、今頃お前は俺にチョコを作ってくれてんのかぁ?
それとも、もう眠ってる?
直の心の中にもしも不安があるのなら・・・
俺はどんなことをしてでも、その不安を取り除いてやりたいと思うよ。