オレンジジュース~俺と一人の生徒~
バレンタインの朝
夜中に何度も目が覚めた。
疲れているはずなのに。
寝不足なはずなのに・・・
何度も目が覚めて、嫌な胸騒ぎがした。
変な夢ばかり見た。
直、直って俺が呼んでいるのに、直に俺の声が届かない。
最初は教室だったのに、いつの間にか、体育館になっていた。
大勢の生徒がいるのに、俺は大声で「直!」って叫んでた。
ありえねぇ夢。
「はぁ・・・疲れた。」
目覚めて最初にそんな言葉を発してしまった。
直、バレンタインだぞ。
バレンタインなのに、どうしてため息が出る?
俺は不安をかき消すように、鼻歌を歌った。
でも、気分が盛り上らなくて、直がお気に入りの迷彩柄のトランクスで気合を入れる。
俺は迷うことなく白いジャージを着る。
直からのおはようメールが届き、俺はホッとした。
いつも通りの朝。
いつもの直だ。