オレンジジュース~俺と一人の生徒~
今日は付き合って初めてのバレンタイン。
夜景の綺麗なイタリアンレストランを予約した俺は、今夜のデートに来ていくスーツを選び、紙袋に詰めた。
直、俺は何を怯えているんだろう。
直が俺から離れることなんてないのに。
どうしてだろう。
一度手にしてしまった幸せは、一生手放したくないんだ。
ぎゅっと抱きしめて、いつもその幸せを俺の近くに置いておきたいと思う。
ちょっと目を離すと、幸せってどこかに消えていってしまいそうだって思う時がある。
俺は幸せに慣れていないのかも知れないな。
廊下から直の教室を見たのに、直は俺じゃなく窓の外を見ていた。
たったそれだけのことが、
また俺を不安にさせる。
今日の俺はちょっとおかしい。