オレンジジュース~俺と一人の生徒~
例年通り、たくさんのチョコをもらった。
どのチョコにも、気持ちが込められているんだと思うと、切なくなる。
俺自身がこんなにも誰かを愛してしまったから・・・
よくわかる。
俺に真剣に恋してる生徒の気持ち。
「ありがとな!お前ら俺を太らせるつもりだろ!!」
教卓の上に置かれたチョコの中には、男子生徒からのものもあった。
「おいおい、俺そういう趣味ね~から!」
男子の1人が笑いながら、嬉しい言葉をくれた。
「いつも俺達のわがままきいてくれるからお礼だよ!」
涙もろくなってきてるんだからぁ・・・
俺を泣かすなよ。
俺は待ち合わせの時間を直に伝えたくて、直を探した。
でもさ、なかなか今日に限って見つからない。
携帯に電話をかけようかと思った時に、廊下の向こうから直が歩いてくる姿が見えた。
「よぉ、矢沢!」
すれ違う時に声をかけると、直は嬉しそうに微笑んだ。
「先生、チョコもらいすぎですよ~!」
「いやぁ、そうでもないよ。まだ本命からはもらってないから!」
そんな冗談を言い合いながら、周りに誰もいないことを確認した。
「今日、8時に迎えに行くから。ホテルの最上階のレストラン予約した・・・」
俺は直の耳元に顔を近付けた。
直の匂いがした。
「まじ・・・!!やったぁ!」
直は、自分が大声を出してしまったことに驚いて、顔を赤くした。
何を不安になってたんだ?
何も問題ない。
ラブラブな俺達。