オレンジジュース~俺と一人の生徒~
夜景の見えるレストラン
教官室でスーツに着替えた俺は、直との初めてのディナーにドキドキしていた。
直は俺を大人だって言うけれど、俺はそんなに大人じゃない。
恋の数が直よりも多いからって、恋に慣れているわけじゃない。
相手が違えば、それは「初恋」と同じなんだ。
実際、俺にとってこんなにも満たされた恋愛は初めてだったから。
ドキドキするよ?
俺だって。
愛しい彼女が俺の為にお洒落して、ワンピースなんて着てきてくれたら、
高校生の男子と同じくらい興奮するし、感激する。
大人だから、それを隠すことができるだけで、心の中は直と同じくらいドキドキしてるんだぞ。
イタリアンレストランは、ホテルの一番上の階だった。
「私子供だな・・・」
エレベーターに乗ると直はそう呟いた。
「俺の方がガキだよ。」
俺はキスが我慢できないくらいガキ。
ディナーを終えたら、いくらでもキスができるのに・・・
エレベーターの中の監視カメラを探したりして。
「直・・・」
透明なガラス張りのエレベーターから景色を見ていた直にキスをした。