オレンジジュース~俺と一人の生徒~
直の鞄から少しだけ顔を出すピンクの袋。
あの中に俺へのチョコが入ってるはず・・・
やっともらえる。
俺は、幸せの絶頂だった。
昨日までの不安なんてこれっぽっちも感じていなかった。
こうして直の顔を見て、手を握ったり、頬に触れたりすると、直からの愛が伝わってきて、俺の心を穏やかにしてくれた。
前菜のサラダを食べ終えた。
「チョコ、くれよぉ・・・」
「もう欲しいの?」
直は、鞄の中からチョコの袋を俺に差し出した。
かわいくラッピングされた袋を手に持ち、俺は直に頭を下げた。
「直・・・ありがとう!!」
俺はテーブルに袋を置き、肘をついて、その袋を見つめた。
「やっともらえた。お前からのチョコ・・・」
俺は手を伸ばし、直の手に触れた。
「あ・・・」
直がビクっとした。
「どした?」
「ううん、なんでもないよ。」
直は、俺が覗きこむようにして顔を見ても、目をそらしたまま俺を見なかった。
どした?
さっきまであんなに笑顔だったのに・・・