オレンジジュース~俺と一人の生徒~
はぁ・・・俺、今日も白いジャージじゃん。
ドキドキして、貧血で倒れそうだ。
今朝も、コーヒーしか飲んでいないから・・・
「はい、静かに!!今から配るぞ~!」
何事もなかったように。
自然に。
いつも通りに。
自分に言い聞かせながら、テストを配る。
直の席がどこか、はっきりと記憶している自分が切ない。
俺は直の席を見ないようにした。
直が俺を見ていても、見ていなくても、どちらにしても辛いから。
「質問ある人、体調悪い人は手を挙げるように。」
俺はいつものように、机と机の間を歩きながら、名前を書き忘れた生徒がいないかどうかチェックした。
直は・・・お気に入りのシャーペンで、しっかりとテストを解いていた。
直の横を通る時、俺は息を止めた。
直の香りを・・・俺の体は察知してしまうから。
まだはっきりと覚えている直の優しい匂い。