オレンジジュース~俺と一人の生徒~
頑張れ、直。
頑張れ・・・俺。
涙が出そうになった俺は、チャイムの音で我に返った。
「はい、終了!!」
テストと共に、俺と直の時間も終わった。
一度も目が合わなかった。
一度も俺を見なかった。
「じゃあ、明日も頑張れよ!」
俺は教室を出る。
廊下を歩きながら・・・直を・・・
「直・・・」
目が、合った。
一瞬だけど・・・直は、俺を見た。
廊下を歩く俺をいつも見ていた直は、
今・・・俺を見てくれた。
こんなことで、ホッとしてる俺は、これからどうなってしまうんだろう。
まだ1ヶ月も経っていないのに。
長くて長くて、苦しいよ。
でも、早く楽になりたいとは思わない。
辛くていい。
直をいつまでも想っていたい。
直が俺に微笑んでくれないことに、慣れてしまいたくはない。
辛くても、このままでいいよ。
まだ別れたなんて、認めたくない俺のままでいい。
いつまでこんなに苦しいんだろうって少し怖いけど・・・
それよりもっと怖いのは、直が卒業してしまうこと。
いつか、卒業しちまうんだな。
いつか、会えなくなるんだな。