オレンジジュース~俺と一人の生徒~
「話があって、来た。」
俺が母親に切り出すと、わかってる、と小さく呟いて、七緒を家まで送って行った。
「彼氏、部屋にいるのか?」
「うん。今日、帰って来たの。」
こういうことなんだよ、直。
直が思っているような関係じゃない。
「彼氏とも話したい。俺とのこと、ちゃんとけじめつけないか?」
「ごめん。もう和人に迷惑かけない。ちゃんと結婚するから。」
何度も聞いたそのセリフをもう信じられなくなってる俺は、ため息をついた。
「七緒は、彼氏と仲良くしてる?」
「うん。お父さんは和人だけど、彼のことも本当に2人目のお父さんのように思ってる。」
直に会いたい。
直に伝えたい。
今、俺がどんな気持ちか。
どんなにホッとして、どんなに嬉しいか。
そして、どれだけ・・・直が必要か。