オレンジジュース~俺と一人の生徒~


「先生、会議行かなきゃ!!」



音楽室で直にくっついたまま、俺は校内放送の呼び出しを無視した。


部活のない期間だったせいか・・・俺の不在が目立ってしまったようだ。



「離れたくない」



わがままを言う俺。



睨みつける肖像画を横目に、俺は直を抱きしめた。




どうしてだろう。


なぜかわからないけど・・・離れたくなかった。



どこかで予感があったのかも知れない。


・・・今しかないって。




教師と生徒の恋愛、それは止められないかも知れないが、許されるものではなかった。





いつかバレるんじゃないかという不安と共に、それなら今どうしても一緒にいたいというわがままな気持ちが生まれていた。





ドンドン・・・




音楽室のドアを叩く音。


俺と直は顔を見合わせた。



< 426 / 455 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop