オレンジジュース~俺と一人の生徒~
クリスマスは会わないつもりだった。
会えば、抱きしめたくなるのはわかっていたし、
クリスマスだから余計に直と離れたくないと思ってしまう。
でもさ・・・
俺は、直へのクリスマスプレゼントを買ってしまった。
ある日の体育の授業中、あまりに寒い日だったから手袋OKにしたことがあった。
「矢沢、手袋ねぇの?」
「うん・・・先生の貸してください」
俺は教官室に転がっていた軍手を貸した。
この寒さの中、直は手袋をせずに登校していた。
今から思えば、たまたまその日、手袋を忘れていただけなのかも知れない。
まぁいい。
とにかく、俺は直の手を温める手袋を買ってしまった。
白くて、ふわふわしていて、直が喜びそうな肌触りだった。
短いひもがついていて、その先には、うさぎのしっぽのようなぼんぼり。