オレンジジュース~俺と一人の生徒~
あの夏の日
やきもち焼きな直を何度も泣かせちゃったな、俺。
文化祭で他の女子とフォークダンスを踊ってる俺を見た時。
スポーツ大会で、俺の写真を撮る生徒を見た時。
卒業アルバムの撮影で、俺が女子に囲まれた時。
直、その分、幸せにする。
涙の分だけ、幸せにする。
「おい!矢沢!日誌持って、教官室来てくれる?」
日直だった直を教官室に呼び出した。
卒業まであと少し。
もうすぐ直は卒業する。
学校では、直は100%生徒の顔しかしない。
最近では俺が寂しくなっちゃうくらい、普通に「生徒」してる。
それは、教室だけじゃなく、教官室でも廊下でも。
みんながいない、個人面談の時でも、直は気をゆるめない。
電話で直は言う。
「それが愛だよ!」ってな。
わかってる、直。
お前は大人になった。
俺に見とれて、水泳中にぶっ倒れたあの日から・・・
お前は別人のように成長した。
『先生、先生』って寝言言いながら寝てたあの保健室での直を今でもはっきり覚えてるよ。