オレンジジュース~俺と一人の生徒~
ポワーンとした顔をして、俺をじっと見つめる矢沢に、ちょっとドキドキしてしまったじゃないか。
「お、おい!!どした?矢沢!!気分悪いのか?」
俺を見つめていると思っていた矢沢は、そのままダランと隣にいた中田という生徒の肩に倒れ込んだ。
「大丈夫か?おい!!しっかりしろ!」
「直、大丈夫?しっかりして!!」
俺と中田で矢沢の肩をゆすった。
うつろな目をして、顔が真っ赤だった。
俺は、とっさに矢沢を抱え上げた。
「わぁ!お姫様抱っこだぁ!!」
生徒の声を背中に受けながら、俺は急いで保健室へ向かった。
軽いんだな、女の子って・・・
そんなことを考えながら。
「大丈夫か?」
保健室の先生の指示でベッドに寝かせる。
一瞬だけ目を開けたような気がした。
「おい、大丈夫か?」
「せんせ・・・」
矢沢は、また目を閉じて、むにゃむにゃと眠りについた。
「貧血ですね。しばらく様子見て、目が覚めたら早退させた方がいいかも知れませんね」
「そうですか。じゃあ、俺また様子見に来るんで、よろしくお願いします」