オレンジジュース~俺と一人の生徒~
最終章【俺達の場所】
オレンジジュース
俺は、直が倒れたあの日の空とよく似た空を眺めながら、思い出に浸っていた。
「新垣先生、日誌持って来ました!!」
わざとかと思うくらいに、他人行儀な態度の直をジロリとにらむ。
直、お前はあの夏の日、保健室でどんな夢を見てたんだ?
何度も俺を呼んだお前は・・・
俺に助けを求めてたのか?
「ふふふふ~」
不気味な笑みを浮かべた直。
「ほら、空見てみろよ。綺麗だぞ!」
「わぁ!綺麗!すっごい不思議な色だね。吸い込まれそう・・・」
俺は、空を見ている直に吸い込まれそうだ。
あの日、保健室に何度も足を運んだ俺は、もう完全に「生徒以上」としての気持ちがあった。
認めたくなかったけどな。
もちろんどの生徒でも大事だし、心配だし、様子は見に行く。
でも、あの時の俺のドキドキは、やっぱり普通じゃなかった。