オレンジジュース~俺と一人の生徒~
集まった生徒の数は12人。
一言も話せないまま、2時間の補習が終わった。
あのドライブが夢だったのかと思う。
着替えた生徒達にオレンジジュースを渡す。
「まじで?先生ありがと!!」
「ラッキー!」
「来て良かった!!」
生徒の笑顔は俺の宝物。
やっぱり俺は教師という仕事が好きだし、自分に合ってると思う。
「あ、これ…」
俺、バレンタインに好きな子にチョコ渡す女の子みたいに
下向いて、ドキドキしながら矢沢にオレンジジュースを渡した。
「あ…ありがとうございます!!」
敬語?
いつもと違いすぎじゃない?
一瞬目を合わせたあと、友達と走ってその場を離れた。
何だ、この気持ち。
何だぁ!!!!
何、失恋した気分になってんの、俺。