オレンジジュース~俺と一人の生徒~
「さぁな…それより、髪の色明るすぎ!!」
俺は彼女がいるともいないとも言えなかった。
矢沢にだけ本当のことを話しただけに
他の生徒に嘘をつくことが申し訳なく感じた。
「好きな人がいるんですけど、どうしたらいいと思う?やっぱ、男の人は押したら引くっていう作戦に弱いの?」
押したら引く…
それを聞いて、俺の頭に浮かんだのは
まぎれもなく あいつ。
押したら引く…
あいつはそんな作戦を考えるような器用なやつじゃない。
でも、明らかに引いてるよな…今日の態度。
「先生、聞いてる?」
俺は、残っていたオレンジジュースをその生徒に手渡した。