オレンジジュース~俺と一人の生徒~
寂しげな瞳
次の水泳の補習は人数が多かった。
「先生今日はジュースなし?」
前回来ていた生徒が大声で言う。
「最初で最後!!」
俺はまだ来ていない矢沢を心配しつつ、答える。
遅れてきた矢沢は、中田ゆかりと手を繋ぎ、笑顔で体操に参加した。
また一番後ろの端っこの方で、遠慮がちに体操していた。
ひまわりは
今日も見つめている。
俺の心の中を見られている気がした。
教師になって、こんなにも悩んだことはなかった。
授業や、生徒の進路で悩むことはあっても、
自分自身の問題でここまで追い詰められたことはない。