オレンジジュース~俺と一人の生徒~
最後の一人になった矢沢は水の中でふくれっ面をしたまま、ゆかりに手を振った。
「先生のいじわる…」
ポツリと呟いた矢沢に水をかけた。
太陽の光がまぶしいのか、
矢沢の笑顔がまぶしいのか、わからない。
俺は目を細めた。
その先にいる 愛しい人を
直視するのが怖かった。
「最近どした?」
俺の質問に矢沢は正直に答えてくれた。
俺に避けられるのが怖くて
自分から俺を避けていたと話してくれた。
ますます
愛しいよ。
どんな気持ちで矢沢が俺を避けていたのか、
この数日何を思っていたのかを考えると
とても苦しくなった。