オレンジジュース~俺と一人の生徒~
その時、俺の中で
何かが動き出した。
意識を失いそうになった。
気付くと
俺は矢沢の頭を胸に引き寄せていた。
おでこにキスをした。
「先生?」
矢沢の声で俺は我に返った。
生徒にキスをしてしまった。
「お前の泣き顔見たくないんだ。一人で泣かないで欲しい。」
矢沢は、大粒の涙を目からポロポロとこぼした。
ひまわり達は、見てはいけないと思ったのか顔を背けていた。
「ほらぁ、また泣く!!」
矢沢の涙を手で拭うと、その温もりに涙が出そうになったんだ。
温かい涙。
人の涙はこんなにも温かいんだ。
「先生…!!!」
矢沢が俺の胸に飛び込んできた。
無理した笑顔ではなく、心からの笑顔になっていたことが嬉しくて
それだけで俺は安心した。