オレンジジュース~俺と一人の生徒~
「2人とも大事な娘なんです…」
お母さんは、涙をこらえようと手をぎゅっと握っていた。
ちらっと矢沢に視線を移すと、その涙は我慢しきれなくなり、真っ白な頬に伝った。
お母さんの話を聞いていると、本当に親の愛とはすごいものだと思った。
俺も親に電話をしなきゃと思った。
お母さんは、
お姉ちゃんに対しても、
矢沢に対しても、
いろんな想いがあり、どうしようもできない気持ちを話してくださった。
その話が俺の心の中には、スーっと入ってきた。
「お姉さんにご挨拶したいんですが… ご迷惑ですかね。」
俺がそう言うと、矢沢は慌てて、困った顔をしてお母さんを見た。
でも、お母さんが頷くのを見て、矢沢も小さく頷いた。