オレンジジュース~俺と一人の生徒~
意外だった。
色白の綺麗な顔立ちをしたお姉さんは
俺の顔を見て、少し頭を下げた。
瞳の色が矢沢に似ていて少し茶色がかっていた。
顔立ちは大人っぽいが、矢沢と姉妹であることは一目見てすぐにわかる。
俺が想像していた姿とは違い過ぎていた。
家からあまり出ないと聞いていた。
出るとなかなか帰ってこないと…
なんとなく、金髪のヤンキー風なお姉さんを想像していた。
俺が、ここに来た理由を話すとお姉さんは
少し笑った。
それまで鋭い目で俺を見ていたが、ふと笑った表情はとても優しく温かかった。
『お姉ちゃんは笑っていた方がいいのに…』と矢沢が言っていたことを思い出す。
そうだな…
矢沢の言う通り、お姉さんは笑顔の方がずっと素敵だ。
「あんたみたいな教師もいるんだね。変わってるね。」
お姉さんはそう言って、手首に付けていたゴムで髪をくくった。
茶色いが、金髪ではない髪。