オレンジジュース~俺と一人の生徒~
頭を下げて、妹をよろしくと言ったお姉さんは、
俺を安心させた。
想像していたお姉さん像とは全く違っていた。
このお姉さんが暴力を振るう姿なんて想像できない。
何が、お姉さんを豹変させてしまうのか…
教師として、俺に何ができるのか。
ますます俺は『矢沢家』の為に
力になりたいと思った。
階段に飾られた幼い矢沢と矢沢の家族の写真。
笑顔のお姉さんと矢沢は手を繋いでいた。
きっと、あいつはこの写真を
毎日見ている。
毎日、こう戻れたら、と願っていることだろう。