オレンジジュース~俺と一人の生徒~
「卒業までお前の気持ちしまっておくと言ったのに、俺がこんなんじゃダメだな…」
俺はどこかにまだいる『自分を止める俺』を探す。
ラジオの音量を上げた。
止めるなら今だぞ!俺…
いいのか?
もう、今止めないと俺は…止まらないぞ。
「俺、教師失格だな…」
矢沢の肩はもう震えてはいなかった。
ラジオから流れる曲は俺が好きな洋楽。
好きなのに、好きだと言えない…と言う内容の切ない曲。
どうしてこのタイミングでこの曲がかかっているのだろう。
「私、先生にすごく助けられてるんだよ。教師失格なんて言わないで。」
矢沢は、俺の顔を見ようと顔を上げた。
俺は、矢沢の肩に手を置き、俺の体から離した。
だめだ。
どうした、俺。
教師失格だよ。
でも、今は教師であるよりも、『男』でありたいんだ。
この気持ちは半端じゃない。
この『愛』は、特別なんじゃないか…
そう信じて、疑わなかった。