オレンジジュース~俺と一人の生徒~
矢沢は、俺に支えられてると言ってくれた。
俺の存在が、自分にとってすごく大きいと…
「俺の方が、お前に支えられてる。救われてるんだ。」
俺は絞り出すように気持ちを言葉にした。
矢沢の頬に触れた。
言葉では伝えることができないんだ。
この気持ちは…
お前の存在がどれほど、俺にとって大きいか、どれほど俺を元気にさせているか…
どうすればお前に伝えられるだろう。
この心の中を、お前に見せてやりたいよ。
顕微鏡で俺の心の中を見れたとしたら、きっとお前は驚くよ。
俺の『誰にも言えなかった気持ち』が…
いつのまにか想像以上に大きくなっていること、俺自身もきっと驚くだろう。
「先生の為に何かしたいよ…」
十分だ。
お前がいるだけで
それだけでいい。
何もしなくていい。
ただお前が幸せになってくれれば俺は幸せだから。
お前が廊下で俺に向かって笑顔で走って来てくれるだけで…
俺は、憂鬱な気持ちも吹き飛んでしまうんだから。
俺はもう1度、力いっぱい抱きしめた。